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展示会リード管理で分かる、CRM選定の現実

Salesforce vs HubSpot|展示会リード管理で分かるCRM選定の現実

公開日 2026.05.09 / 検証日 2026.05.09 / テック比較ジャーナル編集部

SalesforceとHubSpotの比較記事は多いですが、実際にCRMを探している人が知りたいのは「機能が多いのはどっちか」ではなく、自社の営業現場で入力が続くのはどちらかです。CRMは導入しただけでは売上に一切効きません。名刺を取り込み、誰が追い、いつ商談化し、どの案件が止まっているかを毎日更新して初めて意味が出ます。

そこで本記事では、展示会で獲得した名刺100件を、問い合わせ対応・営業フォロー・商談化・月次レポートまで回すという実務シナリオで比較します。規模適合、初期費用、拡張性、学習コストというキーワードは、見出しとして並べるだけでは分かりにくいので、実際の運用フローに落として整理します。

まず結論:5名以下の営業チームならHubSpot、10名超で営業ルールが固まったらSalesforce

営業1〜5名の会社が「まず顧客情報を一元化したい」「問い合わせ対応を漏らしたくない」という段階なら、HubSpotのほうが入りやすいです。画面が分かりやすく、無料ツールやStarterから試せるため、Excel管理からの移行でも抵抗が少ない。営業担当がCRMに慣れていない会社では、この“触り始めやすさ”がかなり重要です。

一方、営業10名以上で、部門別の権限、上長承認、案件ランク、売上予測、代理店管理、基幹システム連携まで考えるならSalesforceが強いです。自由度が高く、長期的な拡張性は高い。ただし、自由度が高いぶん、設計を間違えると画面も運用も複雑になり、現場が入力しなくなります。

スペック比較:表だけ見るとSalesforce、使い始めるとHubSpotが強く見える

項目SalesforceHubSpot
向く規模営業10名以上、複数部署、営業管理者あり営業1〜10名、マーケ兼任、まず整理したい会社
初期費用の考え方設定・設計・教育に費用や工数がかかりやすい無料〜Starterで始めやすく、初期設定も比較的軽い
有料プラン目安Starter Suite 3,000円/ユーザー/月〜Starter Customer Platform 1,200円/シート/月〜(期間限定価格あり)
無料利用無料トライアル中心無料ツールあり。小規模なら試用しやすい
カスタマイズ性◎ 非常に高い○ 分かりやすい範囲で拡張しやすい
学習コスト高め。管理者と現場教育が必要低め。直感的に触りやすい
マーケ連携Marketing Cloud等で本格対応CRM・メール・フォーム・MAが近い
将来の拡張性大企業レベルまで拡張可能中小企業〜成長企業に扱いやすい

※料金・プランは2026年5月時点の公式情報をもとにした目安です。契約前には必ず公式ページで最新条件を確認してください。

実例:展示会で獲得した名刺100件をCRMで追う

CRMを比較するときは、抽象的な「営業管理」ではなく、1つの業務フローに当てはめると差が分かります。ここでは、BtoB企業が展示会で名刺100件を獲得し、営業がフォローして商談化するケースで見ていきます。

Step 1:名刺・問い合わせを登録する

HubSpotは、まず会社・担当者・取引を登録し、ステージを動かしていく流れが分かりやすいです。営業担当が「CRMとは何か」を知らなくても、画面を見ればどこに顧客情報を入れればいいか想像しやすい。フォーム、メール、リスト管理との距離も近く、展示会後の一斉メールや個別フォローに入りやすいのが強みです。

Salesforceは、リード、取引先、取引先責任者、商談の考え方を最初に理解する必要があります。ここを分からないまま始めると、「名刺はリードに入れるのか、取引先責任者に入れるのか」で現場が迷います。ただし、ルールを決めてしまえば、展示会別・担当者別・業種別の管理はかなり細かくできます。

Step 2:営業担当へ割り当てる

HubSpotは少人数で「Aさんが20件、Bさんが30件」と割り振るくらいなら十分です。管理画面も重すぎず、リストやタスクから追いやすい。逆に、地域別、製品別、既存顧客/新規顧客別、代理店経由など複雑な割り当てルールを組みたい場合は、だんだん設計の限界が見えてきます。

Salesforceは、割り当てルールや権限、ロール階層を使って、かなり複雑な営業体制に合わせられます。たとえば「東日本エリアはAチーム、製造業はBチーム、重要顧客はマネージャー承認」という運用も作れます。ただ、その分だけ初期設計と管理者の理解が必要です。

Step 3:フォロー漏れを防ぐ

展示会後に一番起きる失敗は、名刺を集めたのに誰も追わないことです。HubSpotでは、タスク作成、メールテンプレート、リスト管理を使って「3営業日以内に初回メール」「反応があったら商談化」という流れを作りやすい。CRMに不慣れな営業でも、タスク一覧を見れば次にやることが分かります。

Salesforceでも同じことはできますが、設計の自由度が高いぶん、運用ルールがないと逆に散らかります。商談ステージ、活動履歴、ToDo、レポートの見方をチームで揃えないと、営業担当ごとに入力粒度がバラバラになりやすいです。

Step 4:商談化・受注予測を出す

商談が増えてくると、Salesforceの強さが出ます。商談金額、受注予定日、確度、製品別の売上予測、マネージャー向けダッシュボードなど、管理したい項目を細かく設計できます。営業会議で「来月いくら受注できそうか」を見るにはSalesforceが強いです。

HubSpotもパイプライン管理やレポートはできますが、Salesforceほど重厚に作り込むより、営業とマーケの流れをシンプルに見える化する方が向いています。リード獲得から商談化までの流れを少人数で素早く回すならHubSpotの方が扱いやすいです。

初期費用:月額料金より“導入にかかる人件費”を見る

CRM選定でよくある失敗が、月額だけを見て「こっちが安い」と判断することです。実際には、初期費用の大半はライセンスではなく、設計・設定・教育・データ移行にかかります。

HubSpotは、無料ツールやStarterから始めやすく、Excelの顧客リストを取り込んで、営業チームが触り始めるまでのハードルが低いです。小規模なら社内担当者だけで初期設定できるケースもあります。

Salesforceは、長期的には強力ですが、最初からちゃんと作ろうとすると外部パートナーや専任管理者の工数が必要になりやすいです。安く始めることはできますが、「営業プロセスをどう設計するか」を決めないまま契約すると、ライセンス代よりも手戻りコストが痛くなります。

規模適合:人数よりも“営業の複雑さ”で見る

会社の状況選ぶべき理由
もし 営業1〜3名でExcel管理から抜けたいHubSpot無料〜Starterで始めやすく、画面も直感的
もし 営業5〜10名で問い合わせ・展示会・メールを整理したいHubSpotマーケと営業の接続がしやすく、初期運用に向く
もし 営業10名以上でマネージャーが数字を管理するSalesforce売上予測、権限、レポートを本格設計しやすい
もし 複数事業部・代理店・承認フローがあるSalesforce複雑な組織構造に合わせやすい
もし 営業プロセスがまだ固まっていないHubSpotまず運用しながら型を作る方が失敗しにくい

拡張性:Salesforceは深く、HubSpotは広く始めやすい

Salesforceの拡張性は非常に高いです。基幹システム、契約管理、請求、サポート、データ分析、AI活用まで広げられます。営業管理を会社の基幹システムに近づけたいならSalesforceが有力です。

HubSpotの拡張性は、営業・マーケ・カスタマーサポートを一体で始めやすいことにあります。フォーム、メール、ランディングページ、CRM、営業活動が近くにあるため、少人数でも“見込み客を集めて、育てて、商談化する”流れを作りやすいです。

言い換えると、Salesforceは大きく作れる道具、HubSpotは早く回し始める道具です。どちらが上というより、今の会社がどの段階にいるかで答えが変わります。

学習コスト:現場が毎日入力できるかが最重要

CRMは、営業担当が入力しなければただの空箱です。Salesforceは強力ですが、画面や概念に慣れるまで時間がかかります。管理者が設定を作り込みすぎると、現場は「項目が多い」「どこに何を入れるか分からない」と感じやすいです。

HubSpotは、CRMに慣れていない人でも触りやすい設計です。特に小規模チームでは、最初の1週間で「顧客を見る」「商談を動かす」「タスクを確認する」まで持っていきやすい。CRM導入の最初の敵は機能不足ではなく、現場の面倒くささです。その意味で、学習コストの低さはHubSpotのかなり大きな価値です。

料金シミュレーション:CRMは“安く始める”より“無駄なく育てる”

2026年5月時点で、SalesforceはStarter Suiteが3,000円/ユーザー/月、Pro Suiteが12,000円/ユーザー/月、Enterpriseが21,000円/ユーザー/月という料金帯です。HubSpotは無料ツールに加えて、Starter Customer Platformが期間限定価格で1シート月額840円(年払い)または1,200円(月払い)から案内されています。

向いている会社・向いていない会社

Salesforceが向く会社

Salesforceに注意が必要な会社

HubSpotが向く会社

HubSpotに注意が必要な会社

編集部の最終判定

CRM選定で一番避けたいのは、営業現場に合わない高機能ツールを入れて、半年後に誰も入力しなくなることです。営業プロセスがまだ固まっていない中小企業なら、まずHubSpotで問い合わせ・名刺・商談を整理し、CRMを毎日見る習慣を作る方が現実的です。

Salesforceは、営業組織が大きくなり、数字管理・権限・承認・基幹連携が必要になった段階で本領を発揮します。最初からSalesforceを選ぶなら、ライセンス契約ではなく営業管理の設計プロジェクトとして取り組むべきです。

迷ったら、「今すぐ営業が入力できるか」で考えてください。ここでHubSpotが勝つ会社は多いです。ただし、3年後に営業組織を細かく管理したいなら、Salesforceの方が長く伸ばせます。

よくある質問

小規模チームならSalesforceとHubSpotのどちらが向いていますか?

営業1〜5名で、問い合わせや展示会リードをまず整理したい段階ならHubSpotが向きます。無料ツールやStarterから始めやすく、入力画面も直感的です。営業人数が増え、承認・権限・複数部門のレポートが必要になってからSalesforceを検討しても遅くありません。

Salesforceは中小企業には過剰ですか?

必ずしも過剰ではありませんが、営業プロセスが固まっていない会社には重く感じやすいです。項目設計、権限、レポート、運用ルールを作る必要があるため、導入初期から担当者や外部支援の工数を見込むべきです。

HubSpotは無料のまま使い続けられますか?

顧客・会社・商談の基本管理だけなら無料でもかなり使えます。ただし、自動化、詳細なレポート、複数パイプライン、営業メールの本格運用などを使いたくなると、有料プランを検討する場面が出てきます。

初期費用で注意すべき点は何ですか?

月額料金だけで比較しないことです。Salesforceは設計・設定・教育に外部支援費がかかりやすく、HubSpotもMarketing HubやSales Hubを増やすと費用が膨らみます。初期費用は、ライセンス代よりも設計と運用定着の工数で差が出ます。

途中でHubSpotからSalesforceへ移行できますか?

移行自体は可能ですが、会社・担当者・商談・活動履歴・メールログなどのデータ整理が必要です。最初から移行を見据えるなら、HubSpot利用時点で会社名・担当者名・商談ステージ・リードソースの入力ルールを揃えておくと後が楽です。

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編集後記

SalesforceとHubSpotの比較は、機能表で見るとSalesforceが強く見えます。ただ、CRMは高機能なほど成功するわけではありません。営業担当が毎日入力し、マネージャーが毎週見て、次のアクションが決まるかどうかです。小規模チームならHubSpotで運用を作り、必要になったらSalesforceへ広げる方が、失敗しにくい会社は多いと感じます。