公開日 2026.05.21 / テック比較ジャーナル編集部
Claude CodeやOpenAI Codex、Cursorといった「AIコーディングエージェント」を使い始めると、多くの人が同じ壁にぶつかります。「毎回プロジェクトの説明をするのが面倒」「うちの規約を無視して勝手な書き方をする」「触ってほしくないファイルを編集される」──。これらをまとめて解決するのがAGENTS.mdです。本記事では、AGENTS.mdの役割、CLAUDE.mdとの違い、具体的な書き方とテンプレート、そしてやりがちな失敗まで、初心者向けに丁寧に解説します。
AGENTS.mdは、AIコーディングエージェントがリポジトリ(ソースコードの保管場所)を操作する前に読む「AI向けの取扱説明書」です。人間向けのREADME.mdとよく似ていますが、想定読者がAIである点が決定的に違います。README.mdが「このソフトの使い方」を説明するのに対し、AGENTS.mdは「このコードベースでAIがどう振る舞うべきか」を指示します。
OpenAIがコーディングエージェント「Codex」で正式に採用したことをきっかけに広まり、2025〜2026年にかけて複数のツールが対応する事実上の標準になりつつあります。エージェントはコードを書く前にAGENTS.mdを読み込み、「技術スタックは何か」「どのファイルは触ってはいけないか」「テストはどう実行するか」を把握してから作業に入ります。
AGENTS.mdがないと、エージェントはプロジェクトの全体像を知らないまま作業を始めます。その結果、ファイルを片っ端から読んで推測したり(時間とコストの無駄)、プロジェクトの慣習に反するコードを書いたりします。具体的には次のような差が出ます。
| 場面 | AGENTS.mdなし | AGENTS.mdあり |
|---|---|---|
| 技術スタックの把握 | 毎回ファイルを探って推測 | 冒頭で即座に理解 |
| コーディング規約 | 独自スタイルで書きがち | 規約に沿って統一 |
| 自動生成ファイル | 誤って直接編集する | 禁止を認識して回避 |
| テスト実行 | コマンドが分からず確認しない | 指定コマンドで自己検証 |
似たファイルがいくつか存在するため混乱しがちですが、対応するエージェントが違うだけで役割は近いものです。
| ファイル名 | 対応エージェント | 用途 |
|---|---|---|
| AGENTS.md | OpenAI Codex・汎用 | プロジェクト全体の汎用ルール |
| CLAUDE.md | Claude Code(Anthropic) | Claude専用の設定・優先指示 |
| .github/copilot-instructions.md | GitHub Copilot | Copilot専用のコーディング規約 |
これらは共存できます。おすすめの運用は、共通ルールをAGENTS.mdに集約し、各エージェント固有の細かい指示だけを専用ファイルに分けること。重複した内容を3ファイルに書くと保守が大変になるので、「汎用はAGENTS.md、固有は専用ファイル」と役割分担するのがコツです。
基本はリポジトリのルートディレクトリに1つ置きます。さらにサブディレクトリにも置くことができ、その場合はそのフォルダ以下にだけ適用されます。エージェントはルートから順に読み込み、より深い階層の指示で上書きしていきます。たとえば大規模なモノレポ(複数プロジェクトを1つのリポジトリで管理)では、ルートに共通ルール、各パッケージのフォルダに個別ルール、という階層構成が有効です。
難しく考える必要はありません。次のような構成で、まずはルートに1ファイル作るだけで効果が出ます。
# Project Overview
Next.js 14 + TypeScript + Prisma の Webアプリ。
ユーザー管理とダッシュボードが主機能。
# Tech Stack
- Framework: Next.js 14 (App Router)
- Language: TypeScript (strict mode)
- DB: PostgreSQL via Prisma ORM
- Styling: Tailwind CSS
# Directory
- src/app/ ... 画面とAPIルート
- src/lib/ ... 共通ロジック
- src/generated/... 自動生成(編集禁止)
# Rules
- `src/generated/` は自動生成のため直接編集禁止
- コミット前に必ず `npm run test` を実行すること
- APIルートは `src/app/api/` 以下に置く
- 変数名は camelCase、コンポーネントは PascalCase
# Commands
npm run dev # 開発サーバー
npm run test # 単体テスト
npm run test:e2e # E2Eテスト(Playwright)
npm run lint # 静的解析
AIエージェントを使い始めたら、まずリポジトリのルートにAGENTS.mdを1つ作りましょう。完璧を目指す必要はありません。「このプロジェクトは何か(概要・技術スタック)」と「やってはいけないこと(禁止事項)」の2点があるだけで、エージェントの精度と安全性は劇的に変わります。チームで同じエージェントを共有する場合は、属人化を防ぐ共通ルールとしても機能します。まだ日本語の解説が少ない領域なので、今のうちに使いこなしておくと一歩リードできるはずです。
AGENTS.mdはOpenAIのCodexや複数のAIエージェントが参照する汎用仕様です。CLAUDE.mdはAnthropicのClaude Code専用の設定ファイルです。両方置いておくと、それぞれのエージェントが適切なファイルを読みます。共通ルールはAGENTS.mdに集約するのがおすすめです。
リポジトリのルートディレクトリに置くのが基本です。サブディレクトリにも置け、そのフォルダ以下に適用されます。エージェントはルートから順に読み込み、深い階層の設定で上書きします。
プロジェクトの概要・技術スタック・ディレクトリ構成・コーディング規約・テストの実行方法・禁止事項を書きます。AIが迷わず正確に作業できる情報を優先してください。